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『ぜいとぅーん』54号 2014年4月30日発行
今回、生産者や友人・知人たちが異口同音に言っていたのは「自分ができることをやるだけ」という言葉でした。腐らず地味に活動を続け成果を上げている、尊敬すべき友人たちの前向きな言葉です。ただ、一方、この発言の背景には、どうにもならない、見通しのない政治状況、それに伴う経済状況の停滞があります。政治へのあきらめ半分の言葉でもあるのです。
少し話がずれますが、ナーブルス旧市街の食料品店のおじさんとも下記のような話になりました。タマル・ヒンディの濃縮果汁とナツメヤシのジャムを探している間につかまって、20分ほどあれこれ話になったのです(話を聞いてくれそうな人を見つけると、持論を述べ始める人はよくいます)。流暢な英語で「平和を望む」「戦争は誰にも利益ではない」「シオニストとユダヤ人は別」「政府が悪いのであって人々が悪いのではない」「アラブの政変は選挙から始まったのではないのが問題」などと話してくれました。
政府が悪い、というのは、イスラエル政府やアメリカの政府が悪い、という話だったのですが、互いに話をしていくうちに、パレスチナ政府も問題だよね。日本の政府も良くないし。世界各国にもまともな政府はないね、ということになってしまいました。だから、「自分はたんたんとお店を営むだけだ」と。「普通の人は普通の暮らしをしたいだけだ」という言葉も、何人もの人から聞きました。
2013年7月からアメリカ(ケリー国務長官)の仲介によって再開した、パレスチナとイスラエルとの和平交渉は、予想通り、なんの成果もないまま、期限が終わりました。一方、「ファタハ・ハマスの和解合意調印、5週間後に統一政権樹立」というニュースが入ってきました。本当にそれが実現し、「人々の普通の暮らし」が取り戻されることを願うばかりですが、過去、同じような政治的な動きが繰り返されてはうまくいかなかったことを思うと、あまり期待もできません。
シリアの状況には、パレスチナ人もみな、心を痛めていました。シンディアナやマアン周辺の人たちは、カンパも集めていました。
シリアの「内戦状態」は、シリアに住んでいる/住んでいたパレスチナ難民にも大変困難な状況をもたらしています。
シリアのパレスチナ難民キャンプの一つ、ヤルムーク難民キャンプは、2012年12月、反政府武装集団に占拠されたと言われ政府軍が包囲し、25万人の住民の大部分は避難したものの約18,000人が取り残されたそうです。
戦闘で食糧や医薬品などの搬入が長期間中断され、昨年6月以来、食糧と医療の欠乏で死んだ住民は、計142人になりました。
一方、人口約430万人のレバノンには、もともと約43万人のパレスチナ難民が住んでいましたが、ここに100万人のシリア難民を受け入れたことで、住民の4人に1人が難民という状況になっています。(JSRやアムネスティのメルマガを参照しました)
パレスチナ訪問中、みな、日本の震災のことも気にかけて尋ねてくれました。ガザでは、3月11日に、被災者を思って凧をあげてくれたそうです。
時折仙台に帰るだけでも、県外にいては伝わってこない様々な話を聞き、考えさせられます。地元の河北新報も郵送で購読を続けていますが、311前後の特集記事の中で気になったのは「この1年で一番良かったと思うこと」という質問に対して、約1600人中1445人が「ない」と答えていたことです(1位は190人で「東北楽天の日本一」です)。改めて厳しさを感じさせられました。