新シーズンのオリーブオイルとザアタルが入荷しました!

背景がわかる良質な商品をお届けします。

パレスチナ・オリーブでは、素材の質や効能はもちろん、
誰が、どんな状況で、どういう方法で作ったものなのかといった製造背景をクリアにしています。
だから安心。だから美味しい。だから、自信を持ってオススメできる商品ばかりです。

生産者パートナーと協力し、ともに生きる
誰もが大切にされる社会を作っていきます。

パレスチナ・オリーブは、パレスチナ北部のガリラヤ地方(1948年からイスラエル領)のオリーブオイルなどの食品、ヨルダン川西岸地区(パレスチナ自治区)ナーブルスのオリーブ石けん、ヨルダン川西岸地区(パレスチナ自治区)イドナ村の刺繍製品を扱っています。

実際に食べて使って納得したものを輸入し、現地を訪問・交流しながら活動しています。

イベント

『ぜいとぅーん』55号 ガザ攻撃の背景

『ぜいとぅーん』55号 2014年9月19日発行

早尾貴紀

発端?

 今回のガザ攻撃の発端は一般にこう言われます。6月はじめにヨルダン川西岸地区でユダヤ人入植者3人が誘拐される事件が発生。イスラエルはハマスの犯行だと即座に断定して、約一ヶ月間「捜索」と称してハマスへの弾圧を強化、西岸地区の多くのハマスの活動家を逮捕・殺害し、ハマスからの反撃としてガザ地区からイスラエル領へのロケット攻撃を誘発。イスラエルは、これをガザ攻撃正当化の口実としました。

 しかし実際には、誘拐直後に入植者の遺体は発見されており、犯人もハマスと関係のないグループが特定されていたにもかかわらず、イスラエルはその事実を隠してハマス弾圧を展開してきたことが、後で明らかになりました。ハマスはそのかん誘拐への関与を否定し続けていましたが、容赦のないイスラエルによる大量逮捕や殺傷に対して、ロケット弾をイスラエル領に放つことで抵抗を示し、それを合図にその「報復」と称してイスラエル側は7月はじめに大規模なガザ空爆を開始したのでした。

 この経緯を見ると、イスラエルが明確な目的をもってガザ空爆を正当化する機会を作り出したことが読み取れます。その目的とは何でしょう? もちろんそれはイスラエルが明言するわけではないので、分析し推定するしかありません。国際政治・イスラエル内政のさまざまな要素を考慮に入れる必要がありますが、より直接的には、4月末に発表されたハマスとファタハの和解、そしてパレスチナ自治政府の統一内閣に向けての発表が、今回のガザ攻撃の大きな契機になったと思います。

ファタハの問題

 ファタハというのは、2006年の自治政府選挙でハマスが勝利するまで、1994年の自治政府発足以降(93年のオスロ和平合意にもとづく)、主流派を占めてきたパレスチナの一党派です。ファタハの率いる自治政府はイスラエル国家を承認し、イスラエルとの協力のもとパレスチナの西岸地区およびガザ地区を統治してきました。しかし、基本的にはイスラエルによる軍事占領が続いている状態のもとで、かなり限定された部分的な行政権と警察権が、しかも地理的にも限定された範囲に適用されたのみでした。つまり、イスラエルによって都合のいい間接統治であった、さらに言えばファタハは占領の手先になったという批判さえありました。そのため実際、ファタハ自治政府のもと10年以上ものあいだ、被占領地へのユダヤ人入植地の建設は際限なく拡大し、東エルサレムもイスラエルに奪われたまま、さらに全長600kmにも達する隔離壁によって土地の収奪と分断も進み、パレスチナ側の政治力は弱体化する一方で、何も得られるものはありませんでした。

対抗勢力としてのハマス

 その結果として、ファタハはパレスチナ民衆の支持を失い、その批判票が06年の自治政府選挙で、オスロ体制・自治政府を認めてこなかったハマスに流れたのでした。ここで注意すべきなのは、ハマスが、西岸地区とガザ地区の全体で勝利し与党となったことです。しばしばメディアでは、「ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス」と称されますが、ハマスには民主的な選挙によって政権交替を実現したという正統性があります。また、ファタハに対する批判票が対抗勢力としてのハマスに流れただけで、パレスチナ人がイスラム色を強めたわけでもありません。

分裂

 にもかかわらず、ハマスはガザ地区に閉じ込められています。その経緯を思い出すことはとても重要です。06年に勝利し実現したハマス政権を、イスラエルはもちろん、欧米諸国も、そして日本もボイコットしました。民主的な選挙を踏みにじったのです。あまつさえ、イスラエルと欧米は、ハマス自治政府に対して経済制裁を科し、イスラエルが代理徴収をした税金の引き渡しを拒否、またそれまで自治政府を支えてきた国際的な援助金を停止、ハマス政権を追い込みました。

 さらにその状況を打開するためにハマスが目指したファタハとの連立内閣に対してもイスラエルとアメリカは分断工作をおこない、ファタハに公然と軍事費・武器弾薬・軍事訓練を提供しハマス政権へのクーデタを煽りました。その結果として、07年に西岸地区ではファタハがクーデタに成功、一方ガザ地区では失敗しハマスに返り討ちにあい、西岸地区=ファタハ政権、ガザ地区=ハマス政権、という分裂した二つの自治政府内閣ができるという異常事態に陥ったのでした。もちろん西岸のファタハ政権には選挙による正統性がありませんので、むしろ「西岸を実効支配するイスラエルと米国の傀儡政権ファタハ」と言うべきなのでしょう。

統一政権へ

 ガザ地区はオスロ体制下ですでに封鎖が進んでいましたが、06年のハマス勝利とともに完全に封鎖され、2008-09年と12年にもガザ地区の大規模な空爆や侵攻がなされ、そのたびに多くの市民が犠牲になってきました。他方で、西岸地区のファタハ政権も何ら有効な手を打てないでいました。そうした硬直状態を打開するために、今年の4月に発表されたのが、7年ぶりのハマスとファタハの和解、連立内閣によるガザと西岸の統一構想でした。

 ファタハとハマスの決定的な違いは、オスロ体制を認めるかどうかにあります。入植地も東エルサレムも国境管理もイスラエルに握られたままでイスラエルを承認したファタハに対して、ハマスが主張するのは西岸地区およびガザ地区の全面的な解放、つまり入植地の撤去、東エルサレムの返還、国境管理権の移管、そして完全なパレスチナの独立国家です。この点も注意が必要です。しばしば「ハマスはイスラエルを承認しないから交渉できない」としてハマス弾圧が正当化されますが、ハマスは完全に対等な独立した二国家の関係を求めているのです。つまり占領抜きのイスラエル国家であれば承認しているわけです。

イスラエルの目的

 そうだとすると、イスラエルの目的が明確になってきます。イスラエルがどうしても譲歩することができないのは、東エルサレムも含め実質的に半分以上の土地を支配している西岸地区に対する占領政策の継続です。イスラエルがガザ地区を攻撃するのは、ガザ地区に対する支配欲ではなく、西岸地区に対する支配欲のためだということを、見失うべきではありません。

 もちろんガザの停戦、封鎖解除、復旧はどれも大事なことです。しかし停戦になっても、占領状態に変わりありません。封鎖解除も、イスラエルが封鎖を強めたり弱めたり好きなようにできるという占領構造そのものを変えなければ同じことの繰り返し。そして国際社会に向けて、壊滅したインフラや住宅の復旧支援が求められていますが、イスラエルが破壊したものを国際援助で復旧するというのも従来の繰り返しです。しかも建築資材はイスラエルの企業から調達されることになるので、援助はイスラエルの経済を潤すことになります。占領と破壊からさえ利益を得るというのは、オスロ体制以降、イスラエルの一貫した政策です。停戦や復旧ばかりに注目すると、占領政策が見えなくなります。

 本当の問題とは、ガザ地区そのものではなく、西岸地区に対するイスラエルの支配強化・自国領化なのであり、ガザ地区はそのためのコマとして利用しているのです。事実、このガザ攻撃の真っ最中にも、停戦以降も、新たな入植地建設と西岸地区の国有地化が進んでいることに注目しなければなりません。 

目次に戻る

投稿日:2016年02月24日(水)
この記事のURL:http://www.paleoli.org/?eid=140